今の犬の良いところをたくさん見つける

私は、相性が合わない犬がいることは、それほど悪いこととは思つていません。

それなら、ほかの犬と接することはさせないで、飼い主さんとふたりで楽しめばいいのでは?と思っていました。ルギーとは違う付き合い方を楽しむのも一案だと考えたのですが、飼い主さんはやはりドッグランで友達犬と一緒に走ったり、ボール投げを楽しむことがあきらめられないよう。たまにトラブルになることもあるものの、ほかの犬たちの飼い主さんの理解もあり、ゆめにはちやんと一緒にドッグランで楽しめる友達犬が数頭できました。

このように、前に飼っていた犬と比べてしまう飼い主さんはたくさんいます。前の子に問題行動があまりなかった場合には、今飼っている子の悪いところばかりが気になってしまうようです。

そうやってつい前の犬と今の犬を比べてしまう飼い主さんは、いっそとことん比べてみるのもいいかもしれません。両方の良いところも悪いところも、すべて比べてみるのです。

そうすればきっと、前の犬にはなかったような今の犬の良いところも、たくさん見つかるはずです。

ドッグランヘ入るか入らないかは選択できるとしても、ふだんのお散歩でトラブルを起こすわけにはいきません。

ゆめのお散歩トレーニングですが、最初のステップとして、まずはゆめが相手の姿を見つけたのを確認したら「ゆめ、ワンちゃんがいたね」などとやさしい声をかけた後、おやつで誘導し即Uターンで振り返ってすれ違うのを避けるというところから始めました。「ゆめ」という言葉に対する反応を良くするために、名前を呼んだらアイコンタクトを取る練習も強化してもらいました。

最初はなかなか前進しているように見えなかったのですが、4回目くらいのレッスンから、ゆめの歩き方が急速に良くなりました。

飼い主さんもだいぶ落ち着けるようになってきたので、次のステップとして、ゆめがほかの犬の姿を見つけたのを確認したら、アイコンタクトを取っておやつを与えるようにしてもらいました。可能であれば、おやつでゆめを引きつけながら十分な距離を取ってすれ違ってもらいます。最初、相手との距離は5~6mくらい必要かと思います。相手が興奮していたり、距離が取れないなど難しい場合には、Uターンしてもらいます。おやつはできるだけとっておきの、おいしいものを使います。

すれ違う練習を始めてから数週間経ったある日、通りの向こう側のスーパーの前にトイプードルがつながれていました。ゆめはそれを見ると、おやつをもらおうと思ったのでしょう、自ら飼い主さんの顔を見上げました。しかし、飼い主さんは一生懸命歩いていて気付きません。

私は、「今、ゆめが、通りの向こうにいるトイプードルを見てから飼い主さんの顔を見ましたよ!ゆめ、わかってきています!」と伝えました。飼い主さんは、ゆめが吠えてしまうのではないかと、まだ緊張してしまっているようです。散歩レッスンのときは、周囲をよく見るように心がけること、ゆめよりも早くほかの犬を見つけて対処のスタンバイをすることをアドバイスしました。とにかくたくさん練習すれば、だんだん落ち着けるようになります。人も犬も。

その後しばらくしてから、飼い主さんのフェイスブックページで、こんな記事を見つけました!

「お散歩から帰ってきました。途中、ゆめの苦手なトイプードルの子に遭遇。お互いの距離は約3m。すぐさま、トイプードルはゆめに向かって威嚇してきました。でもゆめさん、ぐっと我慢。「ママ、おやつ」って。えらかったよ! ハナマルゆめさんでした」

私もとてもうれしかったです。トイプードルの威嚇をやり過ごせたなんて……、ゆめ、すばらしいです!

その後のゆめのレッスンは、かなりいい感じです。いつものドッグランにつながる道では、以前はドッグランに行かずにUターンしようとすると座り込んでいましたが、今では飼い主さんの誘導するほうへちゃんとついてくるようになりました。ほかの犬を見つけたときも、自らおやつをねだったり、名前を呼ばれたらすぐに視線をほかの犬から飼い主さんへ移したりして、おやつをねだるようになったのです。

お散歩でほかの犬とすれ違う場合、(相性もありますが)今のところレッスンでは、相手が吠えかかってこなければ、ゆめは何事もなかったようにすれ違うことができるようになってきました。まだ油断はできませんが、飼い主さんもゆめも、お互い大らかな気持ちで、ゆったりした散歩ができるようになるまでアドバイスを続けていきます。できるだけゆめの緊張を解きながら、飼い主さんも慌てず、落ち着いて対処できるようになるのが最終目標です。

飼い主さんは根気よくトレーニングを続けて、ゆめの問題行動を改善しようとしてくださっています。ゆめ、やさしい飼い主さんと一緒に、今度こそ本当に幸せになろうね!