どんな犬とも仲良くしなければならない?

私は、どんな犬とも仲良くする必要はないと思っています。人と同じく、犬同士にも相性があるもの。どんな犬とも仲良くできる犬は、それはそれで良いことですが、できない犬が悪いわけではありません。

このような犬の事情を知った上で判断すると、ケンカはどちらかが悪いということではないと思うのです。結果として無傷で相手の犬が負傷。決着がついたのだから、相手はもう突っかからなければいいだけの話です。

相手の犬が最初から「相手のほうが圧倒的に強い」と感じていたらおそらくケンカにはならなかったでしょうし、逆もまたしかりです。

キャバリア・キング・チャールズ・スハニエルのオスとケンカになりそうになったときは、ひと言「ガウッ!」と言ったら、相手はそそくさと逃げてしまったそう。それが正しい犬社会のルールだと思うのです。もちろん、それ以上相手を追うこともありませんでした。

そんな犬で、同じトイプードルの先輩で、『シーザー』という絶対にかなわない相手がいるのだとか。シーザーがそばに来ると目をそらし、頭を下げて服従のポーズを取るそうです。シーザーから過去に一発「ガウッ!」とやられたことがあるらしく、そのときに決着が着いているのでしょう。

「相性の合わない犬でも、どうしてもケンカしないであいさつできるようにしたい」という飼い主さんからの要望があれば、何週間、あるいは何カ月もかけてそれなりのトレーニングをすることはできます。しかしそれは飼い主さんにも、たくさんの時間とエネルギーを費やしていただかなくてはなりません。

飼い主さんは「そこまでは望まない」ということでしたので、次のようなアドバイスをしました。

①散歩のとき、知らない犬とはあいさつさせない(とくに去勢をしていないオスには注意)。

②どうしてもあいさつする場合には、3秒くらいクンクンさせたら、静かに気をそらしつつ引き離して、速やかにその場を立ち去る。

③ドッグランに連れて行く場合には、相性が良くなさそうな犬がいないか必ず確認する。相性が悪そうな犬が入ってきたら、すぐにドツグランを出る。できれば、相性が良い犬だちと貸し切りで使うようにすること。

ドッグランでは、呼び戻しのトレーニングをしていたとしても、テリアの気質や去勢していないオスで興奮しやすい、という条件を考えると、「オイデ」の指示が本当に聞こえなくなる可能性もあります。そこで、オイデができるようになっても過信しないよう注意しました。

飼い主さんの判断で、「犬はドッグランが好きなはず」と決めてしまうことも危険です。もしかしたら、犬はちっとも楽しくなくて、ドッグランがあまり好きではないかもしれません。

レッスン後の様子を聞いてみると、今のところほかの犬に噛みついてしまったことはないそうです。もっとも、それは飼い主さんが考え方を変え、無理にほかの犬と仲良くさせようとしていないからということもありますが、相性の良い犬たちとは遊べているし、そのほうが楽しそうなので満足しているということです。

犬には、人間と違ってお付き合いや世間体、社交辞令などは必要ありません。ドッグランで、絶対に噛まれない、あるいは自分の犬が相手を噛まないという保証はありません。不安があるようなら、「ドッグランから出る勇気」を持つことは、とても大切なことなのです。