トイレが成功したら一番のおやつを

私が初めて自分で犬を飼い始めたときに、ブリーダーさんから教わった方法は、「染み込まない素材の床(フローリングなど)一面にトイレシーツを敷き詰め、子犬が決まったところに排泄をするようになったら、その場所へ向けてだんだんシーツを狭めていく」というものでした。

シーツの代わりに新聞紙でもOKで、子犬に解放するのは4畳半くらいのスペースがちょうどいいようです。

最初は、シーツの上でできたらほめておやつを与えます。床全面にシーツが敷かれていますから、必ず成功します。そのうちひんぱんに排泄を行う場所が決まってくるので、そこへ向かって徐々にシーツのスペースを狭めていきます。最終的に1枚のシーツになるまで狭めたら、あとは飼い主さんの都合のいいところ(トイレを置きたい場所)まで、シーツを1日数㎝くらいずつ移動させるのです。

友人の愛犬(トイプードル/3歳)は、今までできていたトイレが病気のせいでできなくなってしまいました。しかし初心に戻って、トイプードルのしつけのやり方で8畳の部屋一面にシートを敷いてやったら、1ヵ月ほどで1枚のシーツの上でできるようになったそうです。

子犬を暇にしてしまうとシーツで遊び始めますので、暇にさせないよう気を付けなければなりません。どうしても破いてしまう場合には、洗って繰り返し使える「破れないトイレシート」を使うのもひとつの手です。

さて前回紹介したトイプードルの『マリー』のケースですが、お宅の床がすべてカーペット素材だったので、マリーが遊ぶスペースはキッチンと決めました。キッチンの床は、クッションフロアで防水加工がされています。これならシーツが染み込む素材であることを意識させやすいですし、掃除も簡単。飼い主さんがマリーを見ていられないときはゲージに入れて、遊ぶときはキッチンのスペースに出して遊びます。

シートの上でトイレできたら、とっておきのおやつを与えることにしてもらいました。ダイニングテーブルのそばは、粗相されやすいエリアなので、しばらくはダイニングルームには入れません。

この方法で学習を始めたところ、賢いマリーは1ヵ月とかからないうちにトイレを覚え、リビングで遊んでいても、ふと思いついたようにキッチンに走って行き、排泄をしてうれしそうに戻って来るそうです。うれしそうなのはもちろん、その様子を見て理解した飼い主さんが、キッチンのトイレを確認しておやつをくれるからです。

おやつが大好きなマリーにとっては、「ダイニングテーブルの周りで排泄をしておやつがもらえない」なんて、「ありえないこと!」になったようです。

 

トイレを覚えないトイプードル

生後8ヵ月になるのにトイレをなかなか覚えず、ゲージから出すとゲージ内のトイレにはまったく戻らない、という相談を受けました。

こういうご相談はよくあるのですが、「トイレができるようになるかならないか」を決めるのは、犬の月齢が問題なのではありません。「飼い始めてから○力月も経つのに、飼い主さんが教えられない」ということが問題なのです。

飼い主さんの自宅を訪ねてみると、マンションの床はすべてカーペットが敷かれてあるタイプでした。犬には、液体が染み込むところでおしっこをする習性があるので、カーペットで覆われた床は、トイプードルの『マリー』にとってすべてがトイレになってしまう可能性があります。

粗相の場所ですが、飼い主さんは最初「特定の場所はなく、どこにでもする」ということでした。でもよくよく聞いてみると、家族が集まるテーブル付近がいちばん多かったのです。これはじつは大事なポイントで、マリーはトイレを覚えられずにいるだけでなく、マーキングによってメッセージを送り始めていた、ということになります。そうなると、トイレの失敗に対する対処だけではなく、単純な排泄以外のマーキングへの対処もしなくてはなりません。

「トイレのしつけ」と「マーキング」では、直し方が多少異なるので、注意してください。

マリーの飼い主さんご夫妻は、共働きでなかなかトイレのしつけができないとのことでした。しつけ教室に預けてしつけてもらうのはどうか、と相談を受けたのですが、私は「うまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれません」と答えるしかありませんでした。

私がトイレのレッスンのために伺ったお宅の愛犬で、「しつけ教室に預けたらとてもいい子になったけど、トイレだけは家でできない」というケースもありました。しつけ教室では完璧にできるのに、家ではダメだったのです。これは、子犬が「トイレができない」のではなく、「家でトイレをどうしたらいいのか学習できていない」ということ。

この件に関して、しつけ教室で犬の預かりトレーニングをしているドックトレーナーの友人に話を聞いてみました。友人の教室では、トイレの問題で預かった場合、ゲージから出して遊ばせているときにトレーナーがついて、排便やマーキングをしそうになるとすばやくトイレに誘導してほめる作業をするそうです。

これによって「トイレで排泄するとほめてもらえる」という学習が進み、シート上での排泄が完璧にできるようになったら自宅に戻すそうですが、ただ戻すだけではなくその後のフォローが必要とのこと。つまり、家でのトイレトレーニングに関して、トレーナーが飼い主さんの自宅に伺って指導をするとのことでした。

友人のしつけ教室から自宅に戻った犬が、どのくらいの確率で家でもちゃんと決められた場所に排泄できるようになるかというのは、データを取っていないため正確にはわからないそう。犬によっては前述のケースのように、「家ではダメだった」という場合もあり得るということでした。

トイレを覚えさせるためには、とにかく成功させてほめる機会を作ることが大事です。ただ言葉でほめるだけでなく、大好きなおやつをあげたほうが学習効果が上がります。トイレを覚えるスピードは、排泄した回数のうちで何回ほめられたか、つまり「ほめた回数/排泄の回数」というパーセンテージで決まります。なので、できるだけほめてやれるような工夫が必要です。まず排泄しているかどうか見やすい環境を作ることと、排泄のタイミングを知ることが大切です。

 

今の犬の良いところをたくさん見つける

私は、相性が合わない犬がいることは、それほど悪いこととは思つていません。

それなら、ほかの犬と接することはさせないで、飼い主さんとふたりで楽しめばいいのでは?と思っていました。ルギーとは違う付き合い方を楽しむのも一案だと考えたのですが、飼い主さんはやはりドッグランで友達犬と一緒に走ったり、ボール投げを楽しむことがあきらめられないよう。たまにトラブルになることもあるものの、ほかの犬たちの飼い主さんの理解もあり、ゆめにはちやんと一緒にドッグランで楽しめる友達犬が数頭できました。

このように、前に飼っていた犬と比べてしまう飼い主さんはたくさんいます。前の子に問題行動があまりなかった場合には、今飼っている子の悪いところばかりが気になってしまうようです。

そうやってつい前の犬と今の犬を比べてしまう飼い主さんは、いっそとことん比べてみるのもいいかもしれません。両方の良いところも悪いところも、すべて比べてみるのです。

そうすればきっと、前の犬にはなかったような今の犬の良いところも、たくさん見つかるはずです。

ドッグランヘ入るか入らないかは選択できるとしても、ふだんのお散歩でトラブルを起こすわけにはいきません。

ゆめのお散歩トレーニングですが、最初のステップとして、まずはゆめが相手の姿を見つけたのを確認したら「ゆめ、ワンちゃんがいたね」などとやさしい声をかけた後、おやつで誘導し即Uターンで振り返ってすれ違うのを避けるというところから始めました。「ゆめ」という言葉に対する反応を良くするために、名前を呼んだらアイコンタクトを取る練習も強化してもらいました。

最初はなかなか前進しているように見えなかったのですが、4回目くらいのレッスンから、ゆめの歩き方が急速に良くなりました。

飼い主さんもだいぶ落ち着けるようになってきたので、次のステップとして、ゆめがほかの犬の姿を見つけたのを確認したら、アイコンタクトを取っておやつを与えるようにしてもらいました。可能であれば、おやつでゆめを引きつけながら十分な距離を取ってすれ違ってもらいます。最初、相手との距離は5~6mくらい必要かと思います。相手が興奮していたり、距離が取れないなど難しい場合には、Uターンしてもらいます。おやつはできるだけとっておきの、おいしいものを使います。

すれ違う練習を始めてから数週間経ったある日、通りの向こう側のスーパーの前にトイプードルがつながれていました。ゆめはそれを見ると、おやつをもらおうと思ったのでしょう、自ら飼い主さんの顔を見上げました。しかし、飼い主さんは一生懸命歩いていて気付きません。

私は、「今、ゆめが、通りの向こうにいるトイプードルを見てから飼い主さんの顔を見ましたよ!ゆめ、わかってきています!」と伝えました。飼い主さんは、ゆめが吠えてしまうのではないかと、まだ緊張してしまっているようです。散歩レッスンのときは、周囲をよく見るように心がけること、ゆめよりも早くほかの犬を見つけて対処のスタンバイをすることをアドバイスしました。とにかくたくさん練習すれば、だんだん落ち着けるようになります。人も犬も。

その後しばらくしてから、飼い主さんのフェイスブックページで、こんな記事を見つけました!

「お散歩から帰ってきました。途中、ゆめの苦手なトイプードルの子に遭遇。お互いの距離は約3m。すぐさま、トイプードルはゆめに向かって威嚇してきました。でもゆめさん、ぐっと我慢。「ママ、おやつ」って。えらかったよ! ハナマルゆめさんでした」

私もとてもうれしかったです。トイプードルの威嚇をやり過ごせたなんて……、ゆめ、すばらしいです!

その後のゆめのレッスンは、かなりいい感じです。いつものドッグランにつながる道では、以前はドッグランに行かずにUターンしようとすると座り込んでいましたが、今では飼い主さんの誘導するほうへちゃんとついてくるようになりました。ほかの犬を見つけたときも、自らおやつをねだったり、名前を呼ばれたらすぐに視線をほかの犬から飼い主さんへ移したりして、おやつをねだるようになったのです。

お散歩でほかの犬とすれ違う場合、(相性もありますが)今のところレッスンでは、相手が吠えかかってこなければ、ゆめは何事もなかったようにすれ違うことができるようになってきました。まだ油断はできませんが、飼い主さんもゆめも、お互い大らかな気持ちで、ゆったりした散歩ができるようになるまでアドバイスを続けていきます。できるだけゆめの緊張を解きながら、飼い主さんも慌てず、落ち着いて対処できるようになるのが最終目標です。

飼い主さんは根気よくトレーニングを続けて、ゆめの問題行動を改善しようとしてくださっています。ゆめ、やさしい飼い主さんと一緒に、今度こそ本当に幸せになろうね!

 

今の状態から過去を推測してあげる

『ゆめ』は保護された犬です。人にはとてもなついているので、以前は飼育されていたことがあると思われます。家の中ではほとんど問題ないそうなのですが、散歩中やドッグランでほかの犬に吠えかかってしまうことがある、という相談を受けました。

会いに行ってみると、ゆめは本当に人なつこい女の子でした。愛きょうたっぷりに近づいてきて、なでてほしいと要求します。慣れるのも早く、私の手に甘噛みをしてきました。

わが家のトイプードルの『トラ』も甘噛みしますが、慣れてない人にはやりません。なので、トラに甘噛みされる人がいたら「良かったね、トラに認めてもらえたみたいよ」と言っているほどです。もちろん力の加減はできているので、痛くないはずです。慣れていない人はびっくりするかもしれませんが、甘噛みされるのが嫌な人は、彼の大好きな遊びを否定することになりますので、アトラスと仲良くなれないかもしれません(笑)。

さて、私はゆめに甘噛みされ、そんなに早く受け入れてもらえたと実感してうれしかったのですが、飼い主さんは驚いたたようです。ご安心ください、ゆめのせ噛みは加減もできているし、きっと仲良しのサインなのだと思います。前の飼い主さんがやらせていたのかもしれませんね。

犬は笑う、笑わない、と諸説ありますが、甘噛みしているときのゆめの顔は、本当にうれしそうに目を細めていて、まるで笑っているように見えます。今では、お宅に伺ってリビングルームに通されるや否や、ゆめが私の腕をくわえてハムハムした後に寝そべるので、私がお腹のあたりを軽くマッサージしてやる、というのがお決まりのあいさつになりました。

そんな様子を見ていると、外でほかの犬に吠えかかる姿が想像できませんでしたが、レッスンで散歩に出た初日にそれを確認することができました。

今回の相談は吠えの問題でしたが、それ以前にまず、散歩でゆめに引っ張られてしまっている飼い主さんが気になりました。ゆめが行きたいほうへ、行きたい速度で連れて行かれてしまっている感じだったのです。それでは、吠えかかってしまったときにとても止められないので、ジェントルリーダーを使うことにしました。これなら、首輪で引く1/3くらいの力でゆめをコントロ-ルできます。歩く位置も、右へ行ったり左へ行ったりしてとても危険だったので、飼い主さんの希望で左側に決めました。

「ゆめの歩きたいように歩く→ゆめに決定権がある→飼い主の指示に従いにくくなる→吠えるのを止められない」という現状なので、歩く速度や方向、臭いを嗅いではいけない、嗅いでOKなど、すべての決定を飼い主さんができるようにトレーニングを始めました。

まずは、飼い主さんの左側(理想の位置)にゆめが来るようにリードを短く持ち、腕は体につけるようにします。腕は前後左右に勳かないように注意。歩く速度はゆっくりで、たまに止まってお尻を手で押して座らせます。このとき言葉での指示でなく手で押すのは、飼い主さんの「意思の強さ」を手からゆめの体へ肉体的に伝えるためです。途中まで押して、その後は自分でお尻を下ろすのを待ちます。そのとき、飼い主さんには心でこうつぶやくようにしてもらいました。「どうすればいいんだっけ?」

最初、ゆめはやはり抵抗しました。この抵抗はゆめの気持ちの表れで、反発でもあるので認めるわけにはいきません。「ゆっくり歩いて止まり、座らせる」という作業を繰り返しやってもらいました。しばらくすると、そばを黒いトイプードルが通りかかりました。

「ガウッ!」。ゆめは、家で見る姿からは想像もつかないような激しい様子で、その犬に飛びかかりそうになったのです。その子は、大好きな『リョウ』くんという友達犬でした。少々暗くなり始めていたので、リョウくんだと認識するのが遅れたのでしょうか?そのときの様子から、散歩中はゆめがとても緊張している状態であることがわかりました。友達でさえも警戒してしまったようです。

「いつもあんな風になってしまうんです。前の犬はこんなことはなかったんですが……」と飼い主さん。以前は『ルギー』というトイプードルを飼っていたそうなのですが、ゆめと性格は正反対。ルギーは、どんな犬とも仲良くできたそうですが、ゆめは、相性が合わない犬には吠えてしまうのです。

でも、ゆめはルギーとは違います。しかも保護された犬なので、過去の犬生に何があったのか正確にはわかりません。ほかの犬とトラブルを起こしてしまって、飼育を放棄された可能性もあります。もしかしたら、ほかの犬に噛まれた経験もあるのかも……。過去がわからないからこそ、私たちは「今」見られる行動から、過去に何があったのかを理解してやらなくてはならないのです。

 

どんな犬とも仲良くしなければならない?

私は、どんな犬とも仲良くする必要はないと思っています。人と同じく、犬同士にも相性があるもの。どんな犬とも仲良くできる犬は、それはそれで良いことですが、できない犬が悪いわけではありません。

このような犬の事情を知った上で判断すると、ケンカはどちらかが悪いということではないと思うのです。結果として無傷で相手の犬が負傷。決着がついたのだから、相手はもう突っかからなければいいだけの話です。

相手の犬が最初から「相手のほうが圧倒的に強い」と感じていたらおそらくケンカにはならなかったでしょうし、逆もまたしかりです。

キャバリア・キング・チャールズ・スハニエルのオスとケンカになりそうになったときは、ひと言「ガウッ!」と言ったら、相手はそそくさと逃げてしまったそう。それが正しい犬社会のルールだと思うのです。もちろん、それ以上相手を追うこともありませんでした。

そんな犬で、同じトイプードルの先輩で、『シーザー』という絶対にかなわない相手がいるのだとか。シーザーがそばに来ると目をそらし、頭を下げて服従のポーズを取るそうです。シーザーから過去に一発「ガウッ!」とやられたことがあるらしく、そのときに決着が着いているのでしょう。

「相性の合わない犬でも、どうしてもケンカしないであいさつできるようにしたい」という飼い主さんからの要望があれば、何週間、あるいは何カ月もかけてそれなりのトレーニングをすることはできます。しかしそれは飼い主さんにも、たくさんの時間とエネルギーを費やしていただかなくてはなりません。

飼い主さんは「そこまでは望まない」ということでしたので、次のようなアドバイスをしました。

①散歩のとき、知らない犬とはあいさつさせない(とくに去勢をしていないオスには注意)。

②どうしてもあいさつする場合には、3秒くらいクンクンさせたら、静かに気をそらしつつ引き離して、速やかにその場を立ち去る。

③ドッグランに連れて行く場合には、相性が良くなさそうな犬がいないか必ず確認する。相性が悪そうな犬が入ってきたら、すぐにドツグランを出る。できれば、相性が良い犬だちと貸し切りで使うようにすること。

ドッグランでは、呼び戻しのトレーニングをしていたとしても、テリアの気質や去勢していないオスで興奮しやすい、という条件を考えると、「オイデ」の指示が本当に聞こえなくなる可能性もあります。そこで、オイデができるようになっても過信しないよう注意しました。

飼い主さんの判断で、「犬はドッグランが好きなはず」と決めてしまうことも危険です。もしかしたら、犬はちっとも楽しくなくて、ドッグランがあまり好きではないかもしれません。

レッスン後の様子を聞いてみると、今のところほかの犬に噛みついてしまったことはないそうです。もっとも、それは飼い主さんが考え方を変え、無理にほかの犬と仲良くさせようとしていないからということもありますが、相性の良い犬たちとは遊べているし、そのほうが楽しそうなので満足しているということです。

犬には、人間と違ってお付き合いや世間体、社交辞令などは必要ありません。ドッグランで、絶対に噛まれない、あるいは自分の犬が相手を噛まないという保証はありません。不安があるようなら、「ドッグランから出る勇気」を持つことは、とても大切なことなのです。

 

ドッグランにて

「ドッグランでほかの犬を噛んでしまった」ということで相談を受けました。ドッグランに遊びに行ったときに、去勢していないオスの犬と争いになり、相手の耳に小さなケガをさせてしまったそうなのです。『ケンタ』もその犬も、去勢はしていませんでした。

飼い主さんによると、ケンタは誰彼かまわず噛みつくわけではないそうです。ドッグランで、相手の犬もケンタのことが気になり、しつこくしてきていたそうです。お互い去勢をしていない男子ですから、どうしても決着をつけなければならなかったのでしょう。

「やるかっ!」

「おう、やろうじゃないかっ!」

なんてやり取りがあったのだろうと思います。それは、ある意味自然な成り行きとも言えます。放っておけばいいのについ、ということは、よくある(?)ことなのかもしれません。人間から見ても、とても人ごととは思えませんね(苦笑)。

アイコンタクトは、犬にとって非常に大切な意味があります。それは「あなたに用がある」というボディラングージになっているためです。「用」にはいろいろな種類があります。

代表的なもののひとつは、「遊ぼう!」というメッセージ。相手にちょっかいを出したいときに使います。

犬が両前足を地面に着けて上半身を低くし、お尻を高く上げてうれしそうにしているとき(これを「プレイボウ」と呼びます)は、相手と遊びたいのです。誘われた相手は、付き合うなら見つめ返し、合図で遊びがスタート。同じようにプレイボウをすることが多いようです。友好的な犬は、人がプレイボウのまねをしてやると、喜んで応えてくれます。

とてもかわいいので、ぜひやってみてください。(ただし、無視されて「うざい」という顔をされることもあるのでご注意を……)

もうひとつは「やるか!」というケンカの吹っかけです。四肢をまっすぐしっかりと地面に着け、耳としっぽを高く上げ、「バックル」と呼ばれる首筋あたりの毛を逆立て、じっとして動かずに相手の目をにらみつけるようなアイコンタクトを取ります。これは一触即発、高い確率でケンカが始まる可能性があります。

どちらかが目をそらした場合には、「あなたと戦う気はありません」というサインになってケンカには発展しないのですが、どちらも引かない場合はケンカが始まってしまいます。

このように、犬同士のあいさつでケンカになりそうなボディラングージが見られたら、(とくに去勢していないオス同士の場合には)注意すべきです。対処法としてはまずはゆっくり目線を合わせないようにしつつ、刺激しないように落ち着いて気をそらしながら徐々に引き離すのがよいでしょう。

このときに飼い主さんが大きな声を上げたり、慌ててギュッとリードを引くと、かえって犬を興奮させることになります。それをきっかけにケンカが始まる場合もあるので注意が必要です。

また、最初は仲良さそうに鼻先でクンクンとお互いの臭いを嗅いでいたのに、急にガウガウ始まった、という話もよく聞きます。これは、最初に臭いを嗅ぎ合うときに決して仲が良いわけではなく、臭いを嗅ぎ合ってみた結果、お互いに同格くらいであることがわかったケースが多いようです。{‥で、どうする?お前が引き下がるか?それ七もやるか?}というような暗黙のやり取りがあった末、両者引かない場合に決着をつけようとして、ゴングが鳴らされてしまうのです。

ですから、ケンカの心配がある場合には、軽くでもクンクン相手の臭いを嗅いだら、すぐに引き離すか、最初からあいさつをさせないことをおすすめします。